棚田のメリットは、養分に恵まれた綺麗で
冷たい山の水をふんだんに使えること。
水が冷たいと稲の生育が遅くなるため難しくはあるのですが、
そのぶん品質は申し分のないものになります。
しかし棚田は、田んぼ1枚あたりの面積が小さく、
山の斜面ということもあり作業効率が大変悪いというデメリットがあります。
そのため、高齢の農家さんでは維持できず、
後継者不足から存続の危機にあるのが現状です。
しかし棚田は、里山の生態系を支える大切な要素。
日本の農業だけでなく、自然とそこに暮らす
生き物にとってなくてはならない存在です。
この人と自然とのつながりを守りたいというのが、
私が棚田でお米を作り続ける理由です。
化学肥料や農薬が食の安全性に深く関わっていることは、みなさんご存知かと思います。
加えて、化学肥料や農薬は環境に負荷をかけてしまうことも。
もちろん、有機肥料であっても過度な使用は同様の結果をもたらします。
そこで、農薬を使用せず、有機肥料を適正に施す農法が、美しい水と豊かな自然があるこの地で美味しいお米をずっと作り続けていくためにも
必要なことだと考えています。それに、特別栽培のメリットは他にもあります。
有機肥料で栽培する事で、化学肥料を使用するよりもウンカ等の害虫がつきにくくなり、
さらに効果の穏やかな有機肥料であればゆっくり育つため、作物の品質も向上します。
手間のかかる特別栽培ですが、試行錯誤して身につけてきたノウハウと、ボランティアさんのお手伝いもあり、今年も無事収穫できそうです。
今年は総雨量は少ないものの、日照時間が短かったためにイモチ病を心配しましたが、なんとか無農薬で乗り切ることができました。
もともと秋津穂はイモチ病に強い品種ということもありますが、本当にほっとしました。
また、今年は草取り機を導入したことにより除草作業の効率が上がり、雑草の発生もぐんと抑えられ、収穫量が増えそうです。
もちろん、雑草が減ったぶんお米にしっかり栄養が行き届くので、お米の品質もさらによくなると思います。
粒も大きく綺麗なので、昨年に続きまた一等米を狙えると思います。
収穫量は、予想では去年の1.3倍ぐらいにはなりそうですね。
ただし、山から猪が降りてこなければ、ですが(笑)。猪は一番美味しい時期を知っていて、わざわざ収穫直前に食べにきますからね。